ユーザーの多様性と多面性を理解する -- ISO/IECガイド71とICF

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ISO/IECガイド71が制定から10年を経過して改定されました。
2001年にISO/TMB(技術管理評議会)のTAG(専門諮問グループ)において、ISO/IECガイド71(高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針)が制定されたことを受けて、日本では、これと整合した規格としてJIS Z8071が2003年に制定されました。この規格は、消費者に提供する製品・サービス及び生活環境に関するあらゆる規格を作成・改訂する際に、高齢者・障害者に配慮した規格とするために必要な指針を与えるもので、高齢者・障害者配慮の製品・サービス及び生活環境の増加・普及に貢献してきたと認識されています。
制定されて10年が経過し、更なる普及のための内容の明確化等を目的に、ISO/IEC/ITUの合同委員会(JTAG)で改訂作業が進められていましたが、去る2014年12月1日に改訂版が発行されました。
旧ガイドのタイトルは「Guidelines for standards developers to address the needs of older persons and persons with disabilities」(高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針)でしたが、改訂版では「Guide for addressing accessibility in standards」(規格におけるアクセシビリティ配慮のためのガイド)に変更され、すべての人を対象としたアクセシビリティに広げられました。
カイド71改訂版(英語版PDF)を無料で入手できます。(直接PDFが開きます)

ここでポイントになるのは、人間の能力と特徴をよりシームレスなものとして理解し、規格作成において使用者のアクセシビリティニーズとデザイン配慮のための戦略構築を求めている点でしょう。
これは、WHOの国際障害分類(ICIDH:International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)が、国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)へと改定された経緯とも符合しています。
アクセシビリティは、人間の「心身機能」、「身体構造」、「活動と参加」そして「環境因子」との相互作用として捉えることが重要となります。今後、アクセシブルデザインやユニバーサルデザインに取り組むにはまず、人間とその生活活動の多様性と多面性を理解するところからリスタートが必要だと思われます。その最初のハンドブックが、「ICF 国際生活機能分類―国際障害分類改定版」です。

2001年頃から整備してきた「身体機能特性マトリクス」も、このICFをベースに構成したもので、これまで、家電、自動車、情報通信、住宅設備、オフィス家具、サービス等の業界の皆様にデザインガイドライン策定の基礎資料として提供してきました。詳細情報提供をご希望の方はご連絡ください。

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